[第1回] 「時間は最大の資源 〜 タイムマネジメントを考える」

近年、「タイムマネジメント」が注目されています。簡単に言えば、個人や組織の時間をより有効に活用し、より大きな成果をあげるための考え方や手法です。私は企業研修もやっているのですが、お話させていただく機会の多いテーマのひとつです。今回はこの点についてお伝えしたいと思います。

環境変化が激変する中、さまざまな経営改革の必要性が叫ばれていますが、実際のところ何をやるにしても必要となるのが時間です。新しい経営計画を作ったり、業務改革を進めたり、人を育てていくためには多くの時間が必要です。日常業務に追われる中で、この時間が捻出できないと考え、改善・改革や人材育成を先送りしている会社も数多く存在します。

しかし本当にそうか?例として一度ご自身の時間の使い方を振り返ってみてください。皆さん、この一週間で何にどれだけ時間を使ったか思い出してください。また、その結果としてどんな成果が得られたのか考えてみてください。おそらくほとんどの方が、かなり多くの時間、何に費やしたのか思い出せないのではないでしょうか。あるいは思い出せた時間の中でも、本当にそれだけの時間を費やす必要があったのか疑問に思うこともあるのではないかと思います。それだけ有効に使えていない時間があるということです。

実は、自身の時間の使い方を振り返ることの重要性は、かのピーター・ドラッカーも説いているところです。まずは自身の時間の使い方にいかにムダが多いかを知ることが、より時間を有効活用するうえでの第一歩だといっています。ドラッカーは次の名言も残しています。

「時間はもっとも貴重にして乏しい資源である。この時間という資源を有効活用できない人間は他のいかなる資源もうまく活用することはできないであろう。」

時間は自分の意思と無関係に流れているので、なかなか「資源」という意識は持ちにくいのですが、何かをなすために必要なものを「資源」と考えると、最も基本的な「資源」といえるでしょう。経営資源は「人」「モノ」「カネ」「情報」といわれますが、そのすべての前提に「時間」があります。無限に時間があればほぼすべての資源を得ることができるでしょう。何をするにも時間が必要ですが、時間さえあればたいていのことは実現できます。そういう意味ではやはりドラッカーのいうように「もっとも貴重な資源」というのは的を射ているといえると思います。

「タイムマネジメント」の考え方は、何も今まで8時間かかっていたものを5時間でできるようにしようとするものではありません。そうではなくて、8時間かかっていたものを7時間に短縮し、削減された1時間をより成果のあがる仕事に振り向けることで大きな成果をあげるというものです。

ところでみなさんは、1年何時間あるか考えたことはありますか?答えは簡単、24時間×365日で、年間8,760時間です。このうち2/3から3/4は寝ている時間とすると、ざっくり活動時間は6,000時間前後でしょう。みなさんは1年間に6,000時間を使って何らかの成果をあげているわけです。同じ成果を得るのに1%効率的にできたとすると、60時間という時間が生まれます。3%の効率化で180時間という時間が得られるわけです。180時間といえば、1日8時間働くとして22.5日分、約1か月分に相当します。これを生産性の高い仕事に集中投下するのです。どれだけのことができるか想像していただけると思います。

次回は、具体的なタイムマネジメントの考え方に触れてみたいと思います。